門真市 賃貸の実現したい野望!

9O年までの日本で、多くの人たちが土地の値段は上がり続けるものだと思っていたのと同じように、アメリカ人にとっては住宅価格が下がるなどということは考えられないことであった。 その住宅価格がいま下がり始めているのだから、これからどういう事態が起こるのか誰にもわからない。
たいへん不確実性の高い世界に入ったと言っていいだろう。 しかも、アメリカ人にとって、住宅とは「貯蓄」なのである。
ここが日本と大きく違うところである。 この点については第5章でも詳しく述べるが、アメリカの家は一回建てれば半永久的に保つという考え方が大前提にあるから、土地だけでなく住宅の建物価格も上がっていくのである。
その住宅の持ち主は、ある年齢になった時に住宅を売却することで大きなキャピタルゲインを手にすることができる。 彼らはその資金で老後を暮らすのである。
アメリカ人が貯金や現金を日本人ほど持たないというのは、こうした事情によるのである。 もちろん、資産としての住宅の価値を維持するためには膨大なお金が使われている。

日本の家は一回建てたらペンキを塗り替えることはほとんどしないが、アメリカ人は何年かに一住宅ハブル崩壊のアメリカはハランスシート不況アメリカのホームセンターに行けばすぐわかることだが、ホームセンターでもっとも重要な位置を占めているのはペンキ売場である。 何千種類もの色がつくれるような設備が揃っており、日本式に言えば青白橡色、薄浅葱色や錆青磁色といった色が瞬時にできるようになっている。
そのなかから自由に選んで、その場で色を混ぜ合わせてもらって持ち帰り、それで家を塗る。 十数年に一回は屋根をふき替えることも欠かさない。
それが「貯蓄」だからである。 彼らはそうやって家を大切にして、その家を次の人に渡す。
そうした行動様式の大前提になっているのが、住宅価格は下がることなく、上がり続けるという信度は必ずペンキの塗り替えをする。 仰なのである。
それが今回の住宅バブルの崩壊で、一気に引つくり返ってしまった。 中長期的な住宅の価値はこれまで通り維持されると思われるが、それでもバブルに乗って貯金をしてこなかった人たちは、これからは貯金を増やさなければいけなくなる。
彼らが貯蓄を増やし消費を減らすとアメリカの景気は当然、その分悪くなる。 このことも消費には大きなマイナス要因になる。
住宅価格が前述の先物市場が示唆しているように20O9年末まで下がっても、20O3年タルロスが生じるから、ここから大きなマイナスの資産効果が出てくる。 また20O3年6月以前に買った人々にとっても、今までずっと上がっていくだろうと思っていたことが突き崩されたため、将来に対して大きな不安を持つようになるだろう。
このなかで、家の価値が住宅ローンの残高を下回ってしまう人たちやこれまでのキャピタルゲインをホーム・エクイティ・ローンで先取りしてしまった人たちが最も大きな影響を受けるが、それ以外の人たちのなかでも、住宅価格の上昇が将来のための貯蓄になると思っていた人たちは、自分たちが当初想定したほど(住宅のキャピタルゲインによる)貯蓄はなかったということになり、これからは消費を抑えて(金融資産による)貯蓄を増やそうという行動に出る可能性が高い。 また、住宅価格が住宅ローン残高を下回って借り手がH債務超過(ロ巾尚昆5251uになっているケースは、ハーバード大学のマーチン・フエルドシユタイン教授によると、現在ですでに8OO万件に達しており、これは全体の住宅ローンの15%にもなる。
住宅価格が今後2年間に先物市場が示唆する方向へ下がれば、このような債務超過の状態に置かれる人たちの数は爆発的に増えることになり、近年、住宅をローンで購入した人々の大半がそのような事態に陥りかねない。 8OO万件が全体の15%ということは、住宅ローンの全体数は53OO万件余りということになるが、20O3年6月以降に売買された家の数が延べ36OO万戸あるということは、最大で全体の7一%が債務超過になりかねないということである。

もちろんこのなかには、現金で家を買った人たちゃ当初のローンの規模がそれほど大きくない人もいるので、この7一%という数字はあくまで最大ということだが、その一方で、この間にホーム・エクイティ・ローンを活用した人々も大勢いるので、かなりの人々が深刻な事態に陥ることは避けられないと言えよう。 また前にも指摘したように、米国の住宅ローンはノンリコースローンで、人に対してではなく、家に対して貸したことになっているので、住宅価格がローン残高を下回ってしまうと、人々は住宅ローンを払い続けるインセンティブが激減してしまう。
このような人たちは住宅を明け渡し、銀行に返してしまえば、それ以上の責任は問われないからだ。 ということは、ここからさらに延滞やデフォルトが発生しかねないということになり、そのことはさらに住宅供給を増やし住宅価格や金融機関の財務を直撃することになる。
すでに直近で発生している一部の延滞は、ローンが払えないのではなく、払う理由がなくなったから発生していると思われる。 このような事態に対して、行政当局は何とか延滞や差し押さえにならないようにするため、貸し手と借り手が早期に交渉を開始するよう大々的に呼びかけてきた。
貸し手と借り手がローンのリスケ交渉を始めれば、住宅ローンのデフォルトが回避される可能性が高まることが過去にも証明されているからだ。 また当局は、そのような交渉を容易にするための税制改正も実施してきた。
最近のバーナンキ議長の発言を見る限り、その効果は極めて限定的なものに終わっている。 バーナンキ議長は、この政策が空振りに終わった理由として、その種の交渉を担当するサーピサという人たちは、病気や失業など、借り手に何らかの予期せぬ事態が発生した時の対応策は持っているものの、今回のように、人々が元々背伸びして買っていた場合や、住宅価格自体がローン残高を下回ってしまっている場合の対応策は持っていないことを挙げている。
実際にそのような場面では、相当ドラスチックに住宅ローンの元本をカットしない限りデフォルトは防ぎょうがないが、そのような大幅な元本カットを認めてしまったら、今ローンを払える人たちも同様のカットを要求してくるし、またそのような前例をつくってしまうと今後誰も住宅ローンを出さなくなってしまう危険性がある。 また、住宅価格が下落中であり、しかもその下落が足元で加速している現状では、借り手も貸し手も決断ができないだろう。
現時点で何らかの合意ができても状況が変われば、また新たな交渉が必要になるからだ。 もちろん199O年以降の日本でも、多くの人々がローン残高より住宅価格が低いという状態に直面したが、日本の場合はノンリコースローンではなかったので借り手が最後までローン残高に責任を負う形になっており、E易にデフォルトする人は極めて少なかった。

つまり日本の場合は、みんなが歯を食いしばってでも住宅ローンを払い続けたわけで、住宅価格自体は下がったものの、住宅価格の下落と住宅ローンのデフォルトが相乗効果をもって事態が雪だるま式に悪化することは回避できた。

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